■秋の山歩きと体温調節
標高の高い山に限らず、秋の山歩きは保温が大切となってきます。
日が差している日中はポカポカと暖かく、とくに登りでは汗をかくほどです。
しかし、気温はそれなりに低いので、日影で立ち止まっていれば寒く感じることもあります。
しかも、霧や雨、風の強いときなどは体感温度はぐっと下がります。
暑いときに汗をかき過ぎないよう、そして寒いときに熱を逃さないよう、
衣服によるこまめな体温調節を意識する必要があります。
山麓の登り始めは、やや薄手のものにして、休憩時や標高が上がってきて寒さを感じ始めたら、
1枚羽織る感じがよいと思います。
ジャケット類の着脱は、ザックを下ろして行わなくてはならないですが、
帽子や手袋などの小物類なら、歩きながらでも着脱ができます。
暑いときは帽子や手袋を脱ぐことでも、体温を効果的に下げることができるので、お試し下さい。
寒いときは、身体の中から温めることも意識しる必要があります。
熱い飲み物は、素早く身体の中を温めてくれます。
行動食を食べることでも体温を上げることができるので覚えておいてください。
真夏の低山登山以外は、魔法瓶にお湯を持参するのもよいです。
「暑くて飲まなかった…」ということも多々あるかもしれませんが、
とくに疲れているときは温かい飲み物を飲むことで体力を回復することができます。
秋の登山で、もうひとつ重要なことは「日照時間の短さ」です。
午後2時ごろになると、日ざしの色が赤っぽくなり、山の陰に太陽が隠れると、
一気に暗いと感じることがあります。日没の時間より、ずっと早く山の中は暗くなるものです。
ヘッドライトは、ないよりあったほうが良いですが、暗い山道を小さな明かりだけで歩くのは、
慣れていないと初心者には困難です。
明るいうちに余裕を持って行動終了することが登山をするときの鉄則です。
秋から冬はできれば14時、遅くとも15時には行動終了のスケジュールを組むことをおすすめします。
そうすれば、多少のトラブルがあっても暗くなる前に下山できると思います。
予定通り早く下山できたら、温泉でしっかり身体を温めて帰るのも良いですね。
秋の行楽シーズン、11月の3連休(3~5日)を利用して、
ハイキングや登山を楽しむ人も多いと思います。
天候に恵まれれば、すばらしい紅葉の風景を満喫できますが、悪天候になることもあります。
標高の高い山や高原地帯では気温が大きく下がり、雪になることもあります。
この時期の天候判断は慎重に考えてください。
登山の場合、天気予報で厳しい悪天候が予想されていたら、予報よりさらに悪くなる可能性も踏まえて、
計画を取りやめることも視野に入れる必要があります。
■秋の花見を楽しもう
すっかり秋らしい気候になりました。
関西は紅葉にはまだちょっと早い初秋、秋のお花見を楽しんでみましょう。
山のお花見といえば春の草花、夏の花木が定番ですが、秋も草花が少なからず見られます。
晩夏から秋の始めにかけて低山の山麓で見られるのは、赤紫色のツリフネソウ、淡い紫色のヨメナやノコンギクです。
中腹の草原には、黄色いアキノキリンソウや、白くホワホワしたような花姿のヤマハハコ、
独特の形をしたマツムシソウ、濃い紫色のトリカブトなどが見られます。
秋が深まってくると、リンドウやセンブリなどが多く見られるようになります。
秋に咲く山の花々は、どちらかといえば地味な姿、目立ちにくい色です。
急ぎ足で歩いていたら、目にも入らないことがあります。ゆっくり歩き、立ち止まって花をじっくり観察してみましょう。
「思ったよりたくさんの花が咲いている」ということを知ることができるかもしれません。
山歩きと組み合わせて、山麓のお花畑を訪ねてみるのもおすすめです。
短時間の低山歩きを終えたら、ヒガンバナの群生地、コスモス園など、
秋に見頃を迎えるお花畑に立ち寄ってみましょう。
山で見られる楚々とした草花も素敵ですが、一面に咲き乱れる花々も見応えがあります。
とよのコスモスの里(大阪府豊能町)では、山々に囲まれたなか、1ヘクタールもの敷地に、
ピンクや白のコスモスが一面に咲き誇っています。
花の見頃は9月下旬~10月中旬。10月に入れば、
紅葉を迎えた妙見山登山と組み合わせても面白いでしょう。